「霧中八策」連載、第5回: 「価値の最大化に向けて、仕事に必要な情報、知識、知恵を活かせ!」

  • これまでの四策までで、プロセス(業務)の価値アップこそが日本企業復活の大事な鍵であることが分かった
  • 業務プロセスの価値を最大にアップするためにはどうすればよいのだろうか?
  • 業務プロセスを実施するには、必ずインプットがある。資材、機械、設備、原料、人材といった目に見えるものだけでなく、情報、データ、経験、知識、知恵、勘所といったものもインプットして業務が遂行される
  • 古くから、「三人寄れば文殊の知恵」と云われる。会社で、三人が集まり、それぞれの経験、情報、知識、知恵を結集し、さらに各人が付加価値を加えて業務を行えば、三人力どころか究極的には九人力のパワーを引き起こすことさえ可能になる
  • 「てこ」のように、個人が持つ力を何倍にも膨らますことを、「レバレッジ」をかける、というが、日本では個人主義が蔓延し、半人前の力しか出せていないのが実態だ
  • 知の共有化が確実に拡がれば、「少子化」なんかは心配するに足らない。人口の僅か1%に相当する100万人が、英知を結集し合えば、100万人x100万人で、新たな1億人のパワーだって生まれ得るのである
  • 量的なパワーアップだけに止まらない。例えば、Aさんが作成した素晴らしい提案書があるとしよう。それをBさんが自分のお客様要件を鑑みて作り替える。即ち、新たな付加価値が加わり、さらに、C、D・・・と繋がれば、質までが進化する
  • これが次々と繰り返されれば、やがて画期的なイノベーションへと進展していく
  • アップルのiPadやiPhoneは、米国の設計、日本・韓国の半導体技術、中国・台湾の製造技術を組合せた見事なオープンイノベーションの成功例である
  • 縦割りの日本は、イノベーションが出なくなったばかりか、大震災の復興さえ英知が結集されず、今でも右往左往の状態から抜け出せないでいる
  • 「三人寄れば文殊の知恵」を実践できれば、必ずイノベーションに繋がることを、改めて認識すべきである
  • 情報共有のデータベースやグループウェアといったツールやインフラがあるだけでは意味がない。知のパワーを真に理解し、組織全体で取り組むことが肝要だ
  • 知は業務プロセスに直結するので、情報システム部門の範疇ではない。海外の多くの優良企業には、CKO(Chief Knowledge Officer:知財担当役員)が存在する
  • 韓国では、日本の経済産業省に相当する役所名を「知識経済部」という。国家までが知の大切さを認識し、戦略的にバリューアップの取組に努力しているのだ
  • 株価は資本の大きさとか工場や本社の建物の立派さにとかには左右されない。目に見えない無形資産、とりわけナレッジやウィズダム(英知)の活用が、企業の価値拡大や成長の原動力になる
カテゴリ:コラム 更新:2012年6月28日

「霧中八策」連載、第4回: 「業務プロセスの意味を正しく理解し、ゼロからバリューチェーンを築き直せ!」

  • “プロセス”を日本では「工程、過程」と訳す人が多い。これ自体、間違ってはいない。
  • しかし、「工程」と捉えると、ついつい「手順・手続」へと落し込まれてしまい、非常に細かな重箱の隅を突っつくような作業(タスク)レベルの話に陥りがちだ
  • しかも、その効率性・生産性ばかりを追求し、そのための「改善」が仕事現場の業務目標・課題としてあらゆる部署で長期にわたり実施されてきた
  • 実は、「手順・手続」はプロシージャ(Procedure)という英語の方が的確であり、プロセス、特にビジネスプロセスは「業務」(=仕事の中身そのもの)と定義した方がプロシージャとの意味の違いがより鮮明になる
  • 生産プロセスは生産工程と訳してもそれほど違和感はないが、営業や経理のプロセス(仕事)を営業工程、経理工程と言っては何のことか意味不明になり、「業務」とした方が腑に落ちる
  • プロセスを、価値を生み出す活動(アクティビティ)の価値連鎖(=バリューチェーン)と捉えると、効率性や生産性の前に、活動自体が価値を生んでいるかどうかがまず重要となる
  • 価値のない仕事は止めるべきだし、もっと大きな価値を生むために何が欠けているのか、何が必要なのかを根底から見直せば、大きな改革・革新に繋がるはずだ
  • 20年ほど前、業務全般をお客様視点、全体最適の視点で抜本的に見直す手法としてBPR(Business Process Reengineering=再構築)が欧米を中心に実施された
  • カイゼン中心の日本は、プロセスの理解が不十分だったこともあり、改善の継続と、いつの間にかBPRは”リストラ” にとって代わり、中には、システム導入だけでBPRを達成したと勘違いするビジネスパーソンも多かった
  • 結局、プロセスの真剣な議論がないまま、この失われた20年間を過ごすことになった訳だが、ここが、日本の衰退の一番の要因ではないだろうか?
  • プロセスを手続・手順と混同せず、それらの効率性よりも、まず仕事の価値・有効性を追求することで、大胆な変革や飛躍的な業績アップが期待できる
  • お客様は、プロセスにより作り出される商品やサービスの価値が満足いくものであれば購入するのであって、プロセスの一部を止めたり変えたりしても気にしない
  • もう一つの混同がファンクション(機能=組織)との違いだ。業績が悪くなると直ぐに組織をいじる企業は多い。しかし、プロセスの再編を伴わなければ生まれる価値はそれほど変わらない
  • ビジョンや戦略目標を達成するためのプロセスの「あるべき姿」をまず再構築し、その新たなプロセスを実行するのに最適な組織へ再編するのが本筋である
  • プロセス視点のメリットは、業務を計測(評価)可能にする。品質、時間(スピード)、コストのニーズから仕事の「あるべき姿」をゼロベースで見直せば、必ずや突破口が開けるはずだ
カテゴリ:コラム 更新:2012年6月14日