「霧中八策」連載、第3回: 「リストラの継続よりも、新たな価値の発見・創造を経営の軸足に置け!」

  • この「失われた20年間」、産業界はリストラとコスト削減の嵐に明け暮れて来た
  • リーマンショックの直後は、「日本の実体経済は強いので心配無用」という発言が主流だった。しかし、数ヵ月後には、日本を代表する企業までが派遣社員切りを開始し、日本経済への不安が一気に広がった
  • 「乾いた雑巾をさらに絞れ」とよく言われるが、一番ストックを持っているはずのトップ企業が蛇口を閉めれば、末端の中小企業は一滴の水も流れないのだから乾き切ってしまう
  • 中小企業の景気冷え込みと消費の落ち込みにより、トップ企業の製品までが売れなくなり、さらなるリストラとコスト削減の波が強まり、デフレスパイラルが加速した
  • フロー経済の流れが悪くなると、経済活動全体のダイナミックさが消え、仕事の現場では、度重なるリストラの重圧で疲弊感、閉塞感、無気力、諦めが充満した
  • お客様に価値を提供することよりも、少しでも安く作ることが至上命令となり、効率化、生産性のアップが今日でも多くの企業で最重点課題となっている
  • 競争を勝ち抜くために、効率性の追求、コスト削減も確かに重要だ。しかし、新興国も日本式の生産方式を身に付けた今、それだけで本当に日本は勝てるのだろうか?
  • リストラの継続よりも、もっと大事な視点を見逃しているのではないか?
  • それは、まさに人が新たな価値の発見や創造に尽力することにより、お客様は勿論のこと、取引先も、社員も皆が楽しく、元気に仕事をすることに他ならない
  • 負のスパイラルから抜け出すために、プラスのバリューアップを指向する
  • バリューは価格だけでなく、実行・対応スピードの速さ、短い納期、大幅な品質向上、期待を超えるような画期的商品・サービス等、全てがバリューになる。それらはリストラ発想からは生まれにくい
  • ジョブスは徹底的に商品のバリューを追求したからこそ、iPhoneやiPadといったイノベーティブな商品を世に出した
  • リストラ努力のおかげで、一部企業は復活し、利益の最高記録更新を達成したとの報道があるが、社員や取引先へのプレッシャーをベースにした改善は長続きしないし、彼らの満足無くして、持続的にいいモノやサービスは生まれにくい
  • 常に、パッション(情熱)を持ち、ポジティブ(前向き)に、プロアクティブ(積極的)にプラス指向で、新たな価値の発見、創造に向けて精進していくことが今一番求められている
カテゴリ:コラム 更新:2012年5月23日

「霧中八策」連載、第2回: 「時代を見据えた新たな経営ビジョンを、次世代リーダーを中心に作り直せ!」

  • あのトヨタですら、グローバルビジョンを打ち出したのは2011年である
  • それは、外国人社員からの「当社のビジョンがよく分からない」が引き金だった
  • ビジョンは、会社の存在意義、創業の思い、大切にしたい価値観等の理念実現に向かって描かれた将来像であり、そこからミッション(使命)や戦略、数値目標が導き出される。これらが曖昧に混在したまま、空虚な美辞麗句だけを並べただけの会社が多い
  • 先進的なグローバル企業の英文サイトを見ると、ビジョンが明確に打ち出され、それが業務現場にも浸透し、躍動感に溢れた雰囲気が伝わって来る。一方、日本企業の多くが、横並びで味気なく、型通りのIR、コンプライアンス、会社概要紹介が並んでいるだけで、世界の投資家を呼び込む力は感じられない
  • 掛け声だけの古いままの社訓や社是では、グローバル市場を牽引できない
  • 毎朝、社訓や社是を朝礼で唱和していても、実際の仕事現場では忘れられている
  • 海外進出した日本企業(建設会社)の映像で、日本と同様に作業着点検の中で「安全第一!」を連呼する場面があったが、外国人社員の目は完全に掛け声とずれていた
  • 形式的に紙に書かれたスローガンだけでは意味がなく、実際の業務の中でビジョンがどのように落し込まれているかが重要である
  • 業務まで落し込まれれば、我が社のビジョンがどこまで達成できているのかの評価も可能となる...社長室に飾られた社訓の額を前に、「社長、これらビジョンはどこまで達成できていますか?」の問いに応えられる経営者はそれほど多くはない
  • 従業員にビジョンをいつも意識させ、それを達成するための訓練を徹底し、見事に結果を出しているディズニーランドやリッツカールトンホテルは逆の好例である
  • 今の時代は余りにも数字のプレッシャーが強く先行し過ぎているのではないか?
  • 本来のビジョンを追求し、業務の「あるべき姿」を追求すれば数字はついて来るはず
  • 創業者の思いが現代にも通じるならビジョンを変える必要はない。しかし、時代との乖離が見えるなら、次世代リーダー達を任命して、新たに作り直してはどうか?
  • 自分達で作り直せば、それへの責任も愛着もオーナーシップ(当事者意識)もわく
  • ビジョンが明確になれば、ベクトルを失わずにその実現に向かい、組織一丸となってチャレンジやイノベーション、チェンジが進む
カテゴリ:コラム 更新:2012年5月7日